家について

 

ああ、またか、と半分眠ったままの脳みそで考える。
家族で家を引っ越す夢。

家族、というのは父、母、わたし、妹二人の計5人。

夢のなかの引っ越し先は、あるときは田舎の祖母の家を拡張したような屋敷だったり、いわゆるセレブが住んでそうな大理石の床の広い家だったり、今ひとり暮らししてるアパートを改築したみたいな間取りの家だったり、いちばん最近のだとちいさな部屋が入り組んでいる古い家だったり。
その夢のなかの世界はとても幸福で、わたしはとてもワクワクしている。
引っ越し先が広い屋敷とかだと自分の部屋がもらえて、フカフカのベッドがあったりする。そこに妹とダイブする。いちばん最近のちいさな部屋が入り組んでる古い家で与えられた部屋は図工室のようなつくりだった。ちいさなキッチンがついていて、自由気ままに制作できるぞ、と思ったのだった。
むかしの実家だったボロいマンションに「戻る」かたちで引っ越しをするという夢もよく見る。現実ではわたしが中一のころにそのボロいマンションから徒歩5分くらいの当時の新築マンションに引っ越したのに。
ボロいマンションに「戻る」引っ越しは、ワクワクというより落ち着いた気分。戻ることを喜ぶでもなく悲しむでもなく、とりあえず受け入れてる。ただ、幼少期を過ごした記憶が残っているからか普段現実ですっかり忘れているようなそのボロいマンションの細部まで見えてきたりする。最上階の階段の先の暗闇、古いトイレと狭い脱衣所、台所の棚の中。
その引っ越しのときの自分の年齢はばらばらだ。小学生だったり、高校生だったり、現実の自分の年齢そのままだったり。高校生の自分だと、だいたい鏡の前で身支度を整えている。今日体育があるのに体操服を用意してない!とバタバタしていたりもする。
あまりにも何度もこういう夢を見るので、起き抜けにスマホで「夢占い 引っ越し」と検索することもなくなってしまった。

もうひとつの家は夢のなか。