はしるたび

とある冬の晴れた日の朝、ぱっちり6時に目が覚めた。きのうけっこうヘトヘトで眠りについたけど意外と平気みたい。よし、ならば。

オムレツを薄切りのトーストにのせたのを食べて、7時過ぎに家を出る。どこか行けるとこまで走ってみよう。

去年の9月ごろから、走ることを続けている。
真夏の暑すぎる時期をすぎて、ちょっと体を動かしたいなあと思って近所をなんとなしに3kmほど走ったらけっこう楽しくて、どこまで距離をのばして走れるのかやってみよう!というのがきっかけです。1月にはハーフマラソンをなんとか完走、それからも週1くらいは走るようにしている(が、わりと最近ゆるゆるです…)。

家(国立)からとりあえず府中方面に出る。東八道路という大きな道に出れば、井の頭線久我山駅まで繋がっている。もし行けたら久我山まで、しんどくなったらどこかから乗り物に乗って下北沢まで行けばいい。
そう、今日は9時半に下北沢で待ち合わせをしているのです。友人かわちゃんと。
かわちゃんとはたまに一緒に走っていて、今日のプランは(いつもかわちゃんが考えてくれるんだけど)下北沢で朝カレーを食べて、新宿まで一緒に走ろう、というもの。

さて、東八道路まですいっと出てきて、ここからはひたすらまっすぐ進めるとこまで進むだけ。東八道路、歩行者の通路が広くて、場所によっては自転車ゾーンとも分れていて、信号もそんなに多くなくて走りやすいのです。
イヤホンからはradikoで流してる前日の『ジェーン・スー生活は踊る』。TBSラジオがすきなのだけれど最近はとくにスーさんにはまっている。12時からのコーナー「相談は踊る」は必聴です。フラットな目線から、交通整備をするべくこんがらがった気持ちをスーっとほどいてくれるかんじ。
走っている体はというと、前日の疲れが残ってる気もするけど、無理して飛ばしたりしなければまだまだイケるかな、むしろあんまり気にしたらしんどさが浮き彫りになってしまう気がしてあんまり考えないことにする。とにかくすこしでも前に進もう。

リタイアして中央線に乗るならここ、という分岐点に来る。意外とイケそうだ、よしよしまだまだいこう。

 

走っていると【しんどい】と【たのしい】のターンが交互にやってくる。
わたしの場合走りはじめて3km〜5kmくらいが最初の【たのしい】、8km〜10kmくらいが次の【たのしい】のターンになることが多い。それ以外はずっとけっこう【しんどい】。この【たのしい】のときにあんまり飛ばしすぎると【しんどい】のターンがめちゃつらい。たのしかろうがしんどかろうが、とにかく淡々と、じぶんは走るだけの機械なんだ、と思い込んで走り続けると、ながく走れるような気がする。


三鷹」と付く建物が並ぶところまでやってきた。道路標識に「久我山3km」と書いてある。3kmかあ、あとすこしだな。けどこの「あと3km」がつらいんです。
radikoは『生活は踊る』が終わって前日の『たまむすび』、カンニング竹山がチョコレートの話をしていてめっちゃチョコ食べたい、、と思う。
ハーフマラソンを走ったとき、ポケットにキットカットを忍ばせていて、12kmを超えたあたりから2、3個食べたことを思い出す。チョコレートの力はすごい。ひとつ食べるとエネルギーがぐんぐん湧いてくる。
チョコは走り終えたら食べよう、とにかく一歩でも距離を稼ぐ、というか一刻も早く久我山にたどり着かねば待ち合わせに遅れてしまう!

久我山の手前で道に迷いながらもどうにかこうにか9時すぎに久我山駅到着、国立からここまで15kmくらい。我ながらひさびさながい距離を走れた達成感で気分は高揚、しかも今からカレーだ!井の頭線に乗る。ひさびさの電車。朝のラッシュがちょっとすぎたくらいの時間帯、乗客はみーんなマスクをしていて「あ、やっぱり…」とちょっと薄暗い気分になる。わたしだけ真っ赤な顔して汗だく、妙に薄着、マスクはない。

さて、ものの15分くらいで下北沢に到着、かわちゃんと朝カレー。かわちゃんが誘ってくれるお店はいつだっておいしい。コーヒーもついててさいこうのあさごはん。わたしは正直もう一歩も走れない…とかぼやくが「ここから新宿までは5kmくらいだよ」とかわちゃんが教えてくれる。カレーを食べたら元気がでてきた。さあ走るべ。
ゆっくりおしゃべりしながら走る。渋谷区は坂が多いし道がくねくねしていて冒険気分、わたしは道がさっぱりわからないのでかわちゃんに着いていく。
途中代々木八幡宮でお参り。わたしは実はこれが今年の初詣になりました。おみくじも引く。かわちゃん大吉、わたし中吉。
代々木八幡宮を出てすこししたら代々木、なんとなく通ったことある道だな〜と思っていたらもう新宿のサザンテラスの果てのほうに到着。おしゃべりしてると気が紛れて、5kmなんてあっという間なのだ。

これから仕事のかわちゃんと別れて、わたしはこれからどうしようか。まだ11時。
もう太ももの裏の筋肉がパンパンだし、歩き回るのはつらい。しかしまだ11時、中央線に乗ってしまえば30分で国立に帰れるけどそれはなんだかつまらない気がする。
ふとたまにテレビで観る路線バスの旅のことを思い出す。あ、あれで国立まで帰るっていうのはどうかな。
国立は都心からまあまあ離れているけど、京王バスなら都心も国立も走っているので、きっと一日乗車券を買えば行けるのではないか。すぐに検索したら、都心から多摩地区まで使える一日乗車券は700円とのこと。よし、これだ!

つづく。